2001年2月9日、「グランドアーク半蔵門」(東京都千代田区)を会場に、知的財産の保護と不正商品の排除を目的とする国際シンポジウム「ACAアジア知的所有権シンポジウム2001」を主催・開催しました。
このシンポジウムは3部構成で、第1部は、「実演とブランド商品の本質とその価値〜知的所有権をめぐって」というテーマのもと、パネルディスカッションが行われました。
続いて、特別講演では、荒井経済産業省顧問(前通商産業審議官・元特許庁長官)による、テーマ「ニセモノ対策は皆さんも主役」と題し、日本の産業発展の背景には不正商品対策があったことを指摘。現在日本製品のニセモノが大量に流通している中国へ保護対策を要請しているなどの事例が紹介されました。
今後、日本が執るべき方策としてして、(1)『知的財産基本法』の制定、(2)刑事罰の引き上げ、(3)海外での日本製品の不正商品に対する外交圧力を強める、(4)企業等の自助努力を強化、などの具体的なポイントが提言されました。
第2部は、「IT革命による知的財産への脅威とその影響」と題するBSAバイスプレジデントのボブ・クルーガー氏からのプレゼンテーションに続いて、「IT時代の光と影」のテーマのもと、警察庁生活経済対策室長他3名によるパネルディスカッションが催されました。
まとめとして、(1)摘発の促進、(2)自助努力の推進、(3)執行制度の整備、(4)広報啓発活動の充実、について具体的方策が提起されました。
第3部に催されたパネルディスカッション(テーマ「アジアにおける知的財産保護・啓発の共有〜アジア不正商品対策機構設立に向けて〜」)では、総括として、グローバリゼーションの情報革命の進展によって、一層の各国・各団体の連携の強化を実現すべく、具体的な組織作りが提唱されました。
当日は約400人の参加者が聴講、マスコミ各社の取材も多く、不正商品をめぐる諸問題について広く理解、検討いただく場を提供することができました。
以下の内容は、第3部で報告された次の3団体が各々発表した損害額の一例です。
BSA:(コンピュータビジネスソフトの権利保護団体)
ビジネスソフトの不正コピー問題について、韓国では取締機関による企業内への立ち入り捜査が数多く実施されていることなど、各国の状況が報告されました。日本の不正コピーは減少傾向にあるものの、その被害は年間10億米ドルであり、アジアの先進国として他の国の模範となるよう訴えかけました。
MPA:(アメリカ映画の権利保護団体)
アジア地域ではビデオCDによる海賊版の流通が問題となっており、組織的で悪質な事例が多いことなどが報告されました。海賊版による被害は、日本では1億5000万米ドル、中国では1億2000万米ドル。今後は、インターネットを悪用した無断送信による被害の拡大が懸念されることも指摘されました。
IFPI:(レコードなどの音楽著作権の権利保護団体)
日本以外のアジア地域では、多くの不正商品が出回り、中国・パキスタンでは市場の90%を占めていること、アジア全体の被害額は10億米ドルに及ぶことなどが報告されました。製造販売にはマフィア等の犯罪組織も関与しており、刑事摘発の徹底の必要性も訴えられました。 |